クチャクチャ音がなぜ気になるのか

RyanMcGuire / Pixabay

クチャクチャ音。正式に言えば咀嚼音。食事中にくちゃくちゃと音を立てているどうしても気になってしまう。あれなんだろうね。
先日ファミレスが読書するにあたって最高のスポットと気づき、そこで読書をするようになったのだが、喫茶店と大きく違う点があった。
お客さんのほとんどが「食事」目的で来訪しているのだ。中にはパソコンを開いて作業している方もいるのだが、多くはサンマの塩焼き定食とかハンバーグプレートとか注文して食事にいそしんでいる。

先日は23時過ぎに入店して読書していたのだが、その時間帯でも食事しに来るお客さんがいた。そのお客さんは自分の隣に座ってハンバーグだかステーキだか覚えていないが、結構がっつりめの料理を注文していた。その時は特に気にしてはいなかった。私は「レプリカたちの夜」という一條次郎さんの小説を読むのに集中していた。

しばらく本を読んでいると奇妙なことが起きた。視界は目の前の本を読むことに集中し、脳内では物語の内容が再生されていたところに異音が聞こえてくる。

「くちゃ、くちゃ」

その異音を一度捉えてしまうと、文字を追う視界は焦点がたびたびぼやけ、脳内で再生されていた映像は砂嵐が時折入るようになった。

「くちゃ、くちゃ、くちゃ」

だめだ。気になる。気になりすぎる。

その時だった。雑念が入り乱れだした頭の中に突如疑問が浮かんだのだ。

 

そもそもなんで気になるのだろう。

 

少し考えてみてほしい。私は隣の客さんの食べる音を聞いて「食事のマナーがなってない」と日本の様式的な美意識を傷付けられたことに怒っているのではない。単純にその音が耳に入ってきたときに違和感というか、生理的に受け付けない何かを感じているのだ。であれば、本能的な部分で何かしらの拒絶反応を起こしているのだろうか。いや、それこそ変だ。wikipediaによれば本能というのは、遺伝子に影響するらしい。遺伝子は祖先代々から受け継いできた情報だ。その中にはきっと縄文人や原始人などの情報も刻まれていることだろう。本当に無学なので勝手な推測にはなるが、むしろ歴史的に考えて人間が文明を築いた後よりも前の情報量の方が多いのではないか。そんな遺伝子情報に「くちゃくちゃ音」が不快という情報が刻み込まれているのだろうか。逆に文明を築く前の原人的な方々はマンモスなどを刈って、マンモスの肉をくちゃくちゃ音を立てて食べていたのではないか。そこで原人的な方々は「あいつ食べてる音うるさいよな」とか思っていたのか、原人的な方々の知り合いはいないのでわからないが、きっと気にしていなかったのではないか。

他にもおかしい点がある。このくちゃくちゃ音が気になるのは食事の音だけなのだ。みなさんの身近な例えをすると、AVだ。ここで詳しい言及は控えておくが、AVには様々な「くちゃくちゃ音」や「くちゅくちゅ音」が入り乱れる。だがしかし、その音が気になって一人情事に集中できなかったことや音が不快で萎えてしまったことなどない。

この疑問を解決すべく、インターネットの海に飛び出した。

「くちゃくちゃ音 気になる」で検索するとこのページが出てきた。

[blogcard url=”https://macaro-ni.jp/35645″]

人が咀嚼した食べ物を目で見るのであれば、ビジュアル的に不快なのはわかります。では、音はどうでしょう。やはり、咀嚼された食べ物を想像してしまうからでしょうか。調べてみると、どうやら人間は、咀嚼音を、雑音として認識してしまうそうです。要は、調和のとれていない音ということですね。

咀嚼音を雑音として認識してしまう。なるほど、いやわからん。
なぜ雑音と認識してしまうのか。疑問は疑問のままだ。再度インターネットの海をさまよった。

 

「耳 雑音 不快」で検索するとこのページが出てきた。

[blogcard url=”http://sign.jp/c5f4d84f”]

それでも多くの人は、身の回りの雑音に少しずつ慣れていきます。聴覚情報のフィルタリングは、うまく環境に適応するようになっているのです。

雑音であれば慣れていくらしい。

情報を統合すると咀嚼音は耳が雑音として認識するから不快→耳は雑音をフィルターして適応できる。

つまり耳のフィルターが機能してないってことか。記事を読み進めるとこんなことも書いてあった。

音が大きいためにうるさく感じるものを『騒音』とすると、音のボリュームではなく人間関係などの心理的影響でうるさく感じるものを『煩音』(はんおん)といいます。

心理的影響でうるさく感じることもあるのか。くちゃくちゃ音はまさしくそれなんじゃないか。この煩音に対処法はあるのか。私は三度インターネットの海に身を投げた。

 

「煩音 原因」で検索するとこのページが出てきた。

[blogcard url=”https://blog.goo.ne.jp/yappi27/e/1d1ac0f85014e5d275824ec3df7ebecc”]

煩音は、「わずらわしい」と感じなくなれば、うるさいと感じなくなる可能性がある。そのためには、双方の人間関係がきちんと成り立っていて、いいコミュニケーションが取れていることが必要です。

なるほど。つまり知らない人が隣で食事をしていることに心理的ストレスを感じて、その人が一番うるさく発している咀嚼音が気になってしまうということなのか。

咀嚼音が気になった時は、その人とコミュニケーションをとって良好な関係になり心理的ストレスを感じないようにすればいい。

…いや、解決するハードル高すぎない?

そして私は次からはイヤホンをもってファミレスに行こうと決心したのであった。