みんな、心の中に「どうでもいいこと気にする死神」っていない?
口に出して言うのは本当に野暮だし、口に出せば100人中100人が「どうでもええわ」って言うと思う。そんなことを俺にささやきかけてくる死神。
あ、これから書くのは「しょーもないオブザイヤー」があったら受賞されるくらいのしょうもない話なので興味ない人は素数を数えながら読んでみて。めっちゃ効果あるらしいよ。よろしくね。
料理はどちらかといえばする方なんですよ。
ただ「料理をする」という行為は必ずしも「料理が得意」とイコールではないわけで、包丁で軽やかに食材をさばけるわけでも、フライパンを華麗に振って炒められるわけでもない。ぱっと見でほうれん草と小松菜が見分けられるわけでもない。
だからさ、俺にとっての「料理を作る」という行為はレシピを見ながら何となく再現していく作業なわけ。
いつもお世話になってます。クックパッド。デリッシュキッチン。Kurashi – 暮らし上手。
で、結構数多くのレシピを再現してきたわけなんだけど、例えば
マヨネーズ…大さじ1
レシピにこんな記載があったとする。
「あー、はいはい。大さじスプーンにマヨネーズをビュって出してボウルに入れればいいのね」
って淡々と作業を進めようとするんだけど、ここで満を持してご登場。どうでもいいことを気にする死神。
「ねぇ、本当にそれって大さじ1なの?」
って俺にささやきかけてくる。心の奥底から。梅雨の5日連続雨ってくらいジメジメとした声で。
「うっさいな。別にこれでお金取るわけじゃないし、目分量でいいんだよ」
俺がこんな風に死神を適当にあしらうと、あっちはあっちで言い返してくる。
「そんなこと言うならさ、レシピなんか見なくてもぜーんぶ適当な食材で、適当な調味料で、適当な料理を作ればいいじゃないか。でもお前はそうしない。だってレシピを再現して料理を作りたいからだよね。
もう一度聞くよ。本当にそれって大さじ1なの?」
うざいでしょ?こんなのが心の中にいたらたまったもんじゃないわけ。俺が返す言葉に詰まってると死神が続ける。
「俺が言いたいのはね、『大さじスプーンできちんと測れ』とか、そんな料理教室みたいな小言じゃなくてさ。もっと本質的な話。
この画像を見てよ」
死神が急に画像を出してきた。こういうこともある。
「こんなふうにマヨネーズを大さじスプーンに入れてからボウルに入れるよね?」
「大さじスプーンに取り切れなかったマヨネーズが余っちゃうよね?これじゃ、どれだけ正確に大さじ1杯を測ってもボウルに入るのは『大さじ1杯』じゃなくなっちゃうよね」
お分かりいただけただろうか。この死神、本当にどうでもいいことを気にするのだ。俺はうんざりしながら反論する。
「ほんっとうにこまけぇやつだな、お前は。
そんなに言うんだったらヘラでスプーンに余ってるマヨネーズを取ってボウルに入れるわ」
こうで
こうすりゃいいだろ?どうだ、死神。ぐぅの音も出まい。
「それって意味ある?ヘラで取ったとしてもさ、こうなるのは目に見えてるよ?」
ぐぅぅぅぅ。ぐぅの音出ちゃいました。そうきたか。
「それで今度はヘラについたマヨネーズを取ろうと他の物を使ったら、そっちにもマヨネーズがついて、また他の物を使って、ってどんどん増えていくだけだよね。
そもそもね、ヘラを使ったってスプーンに残ったマヨネーズを100%取れやしないしさ。こんなの問題の先延ばしだよ。
断言するよ。
ボウルには永遠に大さじ1杯のマヨネーズは入らないんだ」
なんてことだ。。。俺は完全に死神に論破された。
俺が今まで大さじ1杯だと思ってたものは大さじ1杯未満の何かだった。
こうやって「どうでもいいことを気にする死神」に言い負かされたとき、どうするか。
こうやって
こうだ!
さて、料理に戻ろ。
おわり。