小説にしても、ドラマにしても、映画にしても、アニメにしても、どれも物語が存在するじゃん?
物語って一度触れちゃうと、途中で「面白い」とか「つまらない」とかの判断をするのは難しくて、始まりから終わりまで一通り味わった上で判断したくなるよね。
「読み進めてつまらなければ、途中でやめてしまえばいい」って客観的おじさんなら言うだろう。
でも物語の途中で匙を投げるのはなかなか勇気がいるんだって。
例えばさ、序盤、中盤が欠伸を禁じ得ないほどのものだとしても終盤で大どんでん返しが起きれば作品の評価が丸っと変わるじゃん。
大どんでん返しでなくても、もう大団円であればそれでよし!って感じになるし。
逆に終盤までは良かったのに最後のオチがイマイチ納得いかないとその物語を手放しで褒められなくなるよね。
だから結局のところ物語って最後まで味わいたくなるもんだ。
中盤でつまらないから止めようとしても、「もう少ししたら盛り上がるかもしれない」「いつかは報われるかもしれない」「ここまで読んじゃったし」なんて思いがよぎって結局最後まで読み進めてしまう。
ギャンブルの中毒性、依存性と同じだ。
かっぱえびせんよろしく「やめられない、止まらない」だ。
じゃがりこ的には「食べだしたらキリンが無い」だ。
そんな物語の中毒性を踏まえて、ひとつ避けられない問題がある。
物語を最後まで味わって納得がいかなかった時のモヤモヤ感。
これ、どうすればいいの?
もちろん物語側に責任は一切無いよ?
その物語を手に取ってしまったのは俺だ。最後まで見届けたのも俺だ。
それで納得いかなかったとして文句を言うのは筋違いというのもわかる。
わかる…いや、わかるんだけど。
この行き場の無い感情がどうしてもぶつかりどころを探してしまう。
この感情を例えるなら、
山頂から見えるであろう綺麗な日の出を見ようと思って、険しい山道を一生懸命のぼってのぼって、やっとたどり着いたら豪雨で何も見れないときの感情。
悪魔的なじゃんけんゲームで「10回連続であいこになろう」と話を持ち掛けられて最終的に裏切られた時の感情。
駅のホームを歩いていたら唐突に近くの人が怒鳴りだしてビクッてなった時の感情。
要するに一言では言い表せないモヤモヤっとしてネバっとした気分の悪い感情だ。
なんでこんな嫌な気分になるんだろうね。こんな感情味わいたくないよね。
そしたら「今まで出会った物語の中から自分の感性と合致したものをリピートすればいいじゃないか」って客観的おじさんは言うかもしれない。
でもこれも難しいんすよ。
モヤモヤ感を味わった直後ならそれは有効だと思う。
モヤモヤ感を解消するためにhuluに配信されている「鬼灯の冷徹」を全話観れば割と気持ちはスッキリする。
でも人の性なのかねぇ。
また新しいものに出会いたくなる。
新しい物語を追い求めてしまう。
これは「もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対」現象だ。
失恋したてのギャルは「ぅち、もぅ恋なんてしなぃ o(-`д´- 。) 」とか言うかもしれない。それでも数週間とか、下手すりゃ数日したら新しい彼ピッピを見つけたりするもんだ。
そんなギャルと同じような心境で気づけば新しい物語ピッピを見つけたくなる衝動は抑えられない。
下のフローチャートを見てほしい。
物語を読む(観る)
↓ ↓
面白い つまらない
↓ ↓
新しい物語を探す ← 鬼灯の冷徹を観る
↓
物語を読む(観る)に戻る
ループしている。
物語が面白かろうがつまらなかろうが結局新しい物語を探してしまう。
じゃあ、ずっとこのモヤモヤ感とともに生きて行かなくちゃいけないのか。
つまらないものに出会わなくなるなんてのは基本的には非現実的だよね。
人の感性なんてそれぞれ。作り手が面白いと思ったものが必ずしも自分も面白がれるかどうかは未知数だし。むしろ面白いと思えるものに奇跡的に出会えたくらいに思ってもいい。
だったら方法は一つ。
自分的に面白いと思える範囲を増やす。
これしかない。
ピーマンの苦手な子がいるとして、
細かく刻んだピーマンが入っている料理を気づかず食べることで克服する話はよく聞くじゃん。
ウニの食べられない人もけっこういるけど、
高級なウニを食べて食べられるようになって人もいるよね。
量を工夫するか質を工夫するか方法は違うけど、共通していることは苦手なものは摂取しないと好きになれないということ。
つまり、
「モヤモヤ感を無くすにはモヤモヤ感が無くなるまでモヤモヤ感を摂取し続ける」
そうすることでモヤモヤ感が無くなって、面白い物語として楽しめるものが増える。
そうやって面白い範囲が増えて行けばモヤモヤ感に出会うことも少なくなっていく。
地道だ。
過酷だ。
そして残酷な結論だ。
モヤモヤ感が嫌だからどうしようって話をしてたら、モヤモヤ感をもっと摂取しようって結論になった。
なんでこうなった。
地獄じゃん。
地獄だとしても楽しめるかなぁ。
魑魅魍魎ってぜったい書けなーい!!
そうやって俺は今日も今日とて「鬼灯の冷徹」を観てます。
おわり。