小学生のころチャットにはまっていた
当時は今のように小学生でも当たり前にパソコンを持っていたりプログラミングできたりするような世の中ではなかったが、私はオタクなおじさんからお下がりのパソコンを貰ったことをきっかけにインターネットの海に繰り出すようになった。
チャットするきっかけはゲームの攻略情報サイトだ。友達とも遊ばずに放課後は自分の部屋でもっぱらゲームに勤しんでいた私は攻略情報をネットで調べていた。
そんな中でも「GAME大宝庫」というサイトを見ることが多くなり、自然と調べたいゲーム情報以外のページも徘徊するようになった。
ある時そのサイトに「GAME CHAT」というページがあるのを見つけた。
当時はチャットという言葉自体知らなかったため何のことかわからなかったがとりあえずクリックしてみた。すると名前を入力する欄と「入室」ボタンがある。
リテラシーの欠片も持ち合わせていなかったが、何となく本名を入力するのが恥ずかしかったので名前の欄に「人参」と入力して入室ボタンをクリックした。
「人参さんが入室しました」
そんな文字が画面上に表示される。人参という名前にしたのは特に意味はない。学校の給食がカレーで人参が多めに入っていたとかたぶんそんな理由だ。
【さといも】< こん~^^
誰かが話しかけてきた。私は驚いた。インターネット上で誰かに話しかけられる。そんな初めての体験に参ってしまった。人参というのは人が参ると書くがその時は文字通り参ってしまった。
初めてのチャット体験
その時入室していたのは、話しかけてきた【さといも】さんだけだった。偶然の野菜繋がりだ。
「こん~^^」というのは「こんにちは」ということだろうか。
私もあいさつしようとキーボードをたたく。
k o ・・・ n n n i ・・・ t i
当時はパソコン始めたての小学生だ。文字を打つのも一苦労だ。なかなか「こんにちは」と入力できない。
【さといも】< お初ですよねー?よろしくですー(^o^)
あぁ!また【さといも】さんが話しかけてきた。どうしよう。お初ってなに?「初めまして」ってこと?
「こんにちは」に加えて「はじめまして」と「よろしくおねがいします」も入力しなければいけない。
キーボードをたたく指が焦って上手く入力できない。
【人参】< こんにちは
やっと「こんにちは」が入力できた。次は「はじめまして」と「よろしくおねがいします」だ。
h a ・・・ z i ・・・ m e m a ・・・ s i ・・・
つたない指使いで文字を入力していく。
【さといも】< おいくつですか?
また質問が来た。【さといも】さん容赦ない。いや、こんなにタイピングが遅いのがいけない。
【人参】< はじめまして^^
会話が周回遅れになっている。焦りに焦って手汗も尋常じゃなくなっている。顔もきっと人参のように真っ赤になっていただろう。
このさい「よろしくおねがいします」は入力しないでいいや。年齢だけ入力しよう。
【人参】< 11です
【さといも】< 僕は13です。よろしくね!(0 ^ w ^ 0)b
【さといも】さん返事すること音速のごとし。早い。もう会話かってくらいの速度だよ。
13歳ということは中学生か。中学生だとこんなにタイピングが早くなるのかと感心した。
そんな感じで初めての生まれて初めてのチャットがたどたどしく始まった。
だが、困ったことが起きる。
「リンクさんが入室しました」
しばらくは【さといも】さんの二人でお互いのことを話していたのだが、ここで新しい人が入室する。
するとどうなるか難なくない。
会話のスピードについていけないのだ。
【リンク】< いまゲームなにやってます?
【さといも】< ポケモンにハマってます
【リンク】< 何バージョン?
【さといも】< 金ですよ。
【リンク】< 俺は初代しかやってないなぁ。金銀って面白いですか?
俺が「いま何のゲームをやってるか」の回答を頑張って入力している時にポケモンの話題になってしまっているのだ。結局話題に入れないまま、だた二人の会話を眺めるだけになってしまった。
タイピングなしでは会話もできない
という訳で当時の私はタイピングの練習を始めた。当時からタイピング練習みたいなページはフラッシュで存在していたから、それを使って練習していた。
ある程度慣れてきたあたりで再度チャットへ入室する。
【人参】< こん~^^
思えば初チャットの時に【さといも】さんが優しく会話してくれたから、もう一度やってみようという気になれたかもしれない。知らない人とインターネットで繋がる感覚が未知の感覚でワクワクが止まらなかった。
会話も前みたいな周回遅れになることもなく、入室してきた知らない人たちと色々な話をした。
年代は小学校高学年から高校生くらいまで幅広かった。基本は学生だったからみんなでゲームの話、学校の話、部活の話とかいろいろした。
いま思えば学校の放課後に教室に残って話しているみたいな感覚だったな。
小さいころから友達がいなくて、青春時代を無為に過ごしたと思ってたけど、考えようによってはあれも青春の一つの形だったかもしれない。
おわり。
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