火ノ丸相撲の面白さを語りながらオモコロ杯2020 銅賞受賞を振り返る

昨日オモコロ杯2020の結果が発表された。

今回の受賞作品は
優勝 1作品
金賞 5作品
銀賞 6作品
銅賞 28作品
計  40作品
が選ばれた。

めでたく銅賞に選んでいただいて嬉しい気持ちもあるが、他の銅賞の方々やより上の賞の方々の作品を読むと自分の場違い感が否めない。

みんなすげぇ。記事の企画も文章の面白さも、何より読者を楽しませようとする思いが伝わってくる。この賞に順位があるとすれば俺のやつは確実に40作品中40位だろう。

それはそうと火ノ丸相撲が好きだ。

~火ノ丸相撲1巻 第1番より引用~

火ノ丸相撲とはジャンプで去年まで連載されていた相撲漫画だ。相撲漫画と言えばつの丸先生の『ごっちゃんです!!』が記憶に新しいと思うが、火ノ丸相撲はジャンプの王道を行く「友情・努力・勝利」のとにかく熱いスポ根漫画である。何より主人公がかっこいいんですよ。

~火ノ丸相撲1巻 第1番より 引用 ~

「大きく」「重く」ある者が絶対優位な『無差別級』格闘技である相撲で、身長150代の潮 火ノ丸(うしお ひのまる)が圧倒的な体格的ハンデを乗り越えながら大相撲の頂点を目指していく物語。もうね、この設定が良いよね。これによってほとんど敵キャラが主人公にとって強キャラになるわけですよ。

もともとハンデがあるから敵キャラを不自然に強くし過ぎる必要が無い。そのためジャンプ漫画にありがちな『新しく出てくる敵キャラが際限なく強くなっていく』インフレ現象が起こりにくく、登場人物の強さにバランスが取られてるんですよね。だからこそ試合にリアルな緊迫感が生まれて、どちらが勝つのかわからない試合をドキドキハラハラしながら読めちゃう。

ちなみにこの物語の面白さは作中に出てくる元横綱の駿海さんが代弁してくれている。

~火ノ丸相撲10巻 第84番より引用~

「小せぇ奴がでけぇ奴をぶん投げる!こんなのワクワクしねぇ訳がねぇ!」

まさにその通りだ。だが、圧倒的なハンデという点においては俺のオモコロ杯もそうだろう。俺は文章力が乏しいし、これまでたくさん文章を書いてきたかと言われればそんなことは無い。ユーモアセンスも無い。学生時代の国語の成績も良くなかった。応募者533通の強豪ひしめく中でどうすれば実力差、経験値を覆せるか考えた結果として3つの太刀で勝負することにした。

  • 大人気漫画アオアシのキャラを描くことでより親しみやすいテーマアピール
  • 同じ絵を100回描くことによって地道な作業をコツコツできることをアピール
  • 途中でAIを使用した判定器を作ることでプログラミング関係もできますアピール

そんな3つの太刀でオモコロ杯に臨んだのだが、3つの太刀といえば火ノ丸君の必殺技を紹介したい。

~火ノ丸相撲8巻 67番より引用~

百千夜叉堕(ひゃくせんやしゃおとし)だ。名前かっこよすぎ。中二の領域を軽く凌駕してるよね。両手の投げと足の払いの「三点同時攻撃」。まさに必殺技だ。

これを初めて使ったのはライバルキャラである天才 沙田君だけど、この試合も名勝負数え歌だよ。めっちゃ熱い闘いだった。沙田の強さ、成長ぶり、才能にさすがの主人公も諦めの文字が頭をよぎるんだけど、そこから

~火ノ丸相撲8巻 66番より引用~

「ふざけるなっ!!」

ってなんとかこらえるわけですよ。いやぁ、熱い。諦めねぇド根性持ちの主人公はやっぱり良い。時代が時代なら火影になれるよ。そんでもって百千夜叉堕で沙田君になんとか勝利して、火ノ丸君率いる大太刀高校が全国大会出場を決めることになる。

全国大会の模様も終始面白く、目が離せない展開だ。しかし全国大会に出場して他の学校から注目される中、全国有数の強豪校である鳥取白楼高校の加納にはこんな辛いコメントされることになる。

~火ノ丸相撲12巻 第105番より引用~

「でもまあ…正直見飽きたよなあ この手の連中は」

まさに、オモコロ杯で銅賞として紹介されたときの俺の記事ではないだろうか。先ほど紹介した3つの太刀なんか、文章力も企画力も上回る方々に圧倒されてしまうし、そもそもこれらのポイントは他の受賞者に完全な上位互換が存在している。そう、火ノ丸相撲に出てくる大太刀高校に対しての鳥取白楼高校のように。

~火ノ丸相撲13巻 第115番より引用~

火ノ丸相撲の話を続けよう。大太刀高校相撲部の中でも俺の好きなキャラは三ツ橋 蛍(みつはし けい)だ。彼は体育祭で偶然見かけた火ノ丸の試合に感動し未経験から相撲部に入部する。火ノ丸と同様に小柄でひょろひょろ。そんなひ弱な自分にコンプレックスを抱きながら大太刀高校相撲部の一員として全国大会を目指していく。彼の成長も火ノ丸相撲の見どころの一つだ。

~火ノ丸相撲2巻 第16番より引用~

大太刀高校は主人公である火ノ丸の他にも元レスリング部全国大会出場者や地道に練習を重ねた相撲部部長など、全国大会で戦える実力を持つ部員たちがいたために全国出場を決めることができた(そんな簡単な説明で終わらせたくないくらいドラマがあるのだが、今回は割愛)。

部員数の少なさから三ツ橋君も団体戦のメンバーに入っているのだが、相手との実力差に大きな開きがあり公式戦で全然勝てていない。それでも諦めずに奇策を弄して勝利を掴もうとする姿は応援せずにはいられない。

~火ノ丸相撲6巻 第53番より引用~

全国大会への出場かけた県予選決勝。ここぞの大舞台での八艘飛び。魅せるねぇ。残念ながらこの試合でも彼は負けてしまう。全国大会に出場した時もやっぱり負け続けて他の学校から手厳しいコメントをもらうことになる。

~火ノ丸相撲13巻 第107番より引用~

これはまるで40の受賞作たちに囲まれてしまった俺の記事のようではないか。ここで俺の記事の3つの太刀がどう敵わなかったのか、三ツ橋君の負けたコマと一緒に振り返ってみよう。

  • 大人気漫画アオアシのキャラを描くことでより多くの人に親しみやすいテーマアピール

→他の受賞者の作品で大人気漫画が原作のカードゲーム『遊戯王』を題材にしたより面白い記事で金賞になった記事がある

~火ノ丸相撲3巻 第18番より引用~
  • 同じ絵を100回描くことによって地道な作業をコツコツできることをアピール

→100日かけて複数のコンビニでビスコを買い、それを記事にするという偉業を成し遂げた記事が優勝した

~火ノ丸相撲7巻 第54番より引用~
  • 途中でAIを使用した判定器を作ることでプログラミング関係もできますアピール

→プログラミング関係の記事でより面白いし専門的な記事が金賞に選ばれたし、同じ銅賞でもオモコロ記事を自動生成しようとする面白い試みをした記事がある

~火ノ丸相撲14巻 第120番より引用~

ご覧の通り全く歯が立たなかった。三ツ橋君も俺も完全に打ちのめされた形だ。その結果はツイッターの反響に如実に表れている。

他の受賞者が2桁~3桁代のいいねやリツイートをされているのに対して自分はこの通り。せっかく選んでいただいたというのにオモコロ杯の結果発表を盛り上げる貢献もさほど出来ていない。オモコロに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

記事へのアクセスは確かに上がっているが、「オモコロ杯の作品全部読んだ!○○が面白かった!」というツイートの○○に俺の記事が取り上げられていることは無かった。

~火ノ丸相撲4巻 第32番より引用~

例えるならば、火ノ丸が大横綱の息子である久世 草介(くぜ そうすけ)に敗北後、相撲部のメンバーと別れて一人で悔しがるシーン。この対戦までは最終的に勝利を飾ってきた彼にとって作品中では初の敗北。圧倒的な体躯の差、才能の差を感じてこれ以上どうすれば勝てるのか、彼の中で迷いが生まれる。

この敗北をバネに皆の協力を得ながら上述した必殺技を習得するのだが、やっぱり常に勝ち続ける主人公よりも負けた末に努力していく姿が人の心を打つよね。そして何と言っても元大横綱の言葉が素敵すぎる。

~火ノ丸相撲4巻 第34番より引用~

「負けてどうするか。それこそが『生き方』だからな…」
火ノ丸に勝利した久世が彼の芽を摘んでしまったのかを心配し、それに対して父である大和国が言ったセリフだ。かっこいい。そんなセリフ言ってみたい。これって最終的に勝ってる人じゃないと言えないセリフだよね。

そんなわけで魅力的な主人公、印象に残る必殺技、ハラハラする試合展開、応援したくなる仲間たちを紹介したけど火ノ丸相撲の面白さが少しでも伝わったら嬉しい。

オモコロ杯の振り返りとしては、俺は主人公的な脚光を浴びた訳でも無いし、皆の印象に残るようなことも無いし、記事の中にハラハラする展開も無ければ、応援もなかったということだ。

例えるならば全国大会に出場するも、初戦で主人公と対戦し、見事にやられていったモブキャラといったところだろう。

~火ノ丸相撲11巻 第91番より引用~

今の実力を噛みしめてビスコ食べながら三年先の稽古をしてきます。
次回応募するかわからないけど、応募するときは火ノ丸になれるよう頑張りまーす。

おわり。

火ノ丸相撲はジャンプ+で読めます!皆も読もう!