考えも無く情報共有ツールを導入したって意味ないって自戒

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話は2年前くらいにさかのぼる。定期的に開かれる会社MTGの議題は「業務の効率化」だった。とある社員が意見を出した。彼を仮にAさんとしよう。

 

Aさん「もっと情報共有をすれば、業務が止まることがなくなり効率化がはかれる」

 

当時社員の入れ替わりが重なったことと、繁忙期で引継ぎもままらずに案件を引き継ぐことが多かった。そのため社員たちはいちいち過去の資料やメールを掘り当てながら作業することが多くなり、当然不満も溜まっていた。社員たちはAさんに賛同し、彼はこの件の解決を任された。

 

後日Aさんから声をかけられた。

 

Aさん「このKnowledgeっていうシステムを使いたいんだけど、会社のサーバに入れてもらってもいいかな」

彼の見つけてきたKnowledgeというはのオープンソースの情報共有サービスらしい。これなら会社のイントラ内にインストールできて、各社員が簡単に情報を投稿できるので共有する敷居が低くなり、会社に情報が溜まっていくとのこと。

 

たしかに良さそうだと思い、サイトのインストール手順に従ってセットアップを行う。簡単にインストールできた。良かった。

自分がインストールしたものだし、どんなものかと触ってみたところ、管理者機能も豊富で投稿も簡単だ。マークダウン式で記述すれば記事の体裁も整うし、読むのも苦にならない。タグ付けやユーザーのグループ分けもできて後から記事を探すのも楽そうだ。良いツールじゃないかKnowledge。気付けば私はすっかりKnowledgeを気に入っていた。

 

それから数日たって再び定期的なMTGで彼はこのシステムの導入をみんなに知らしめた。
メンバーの反応は上々だった。Aさんも満足そうだ。そして情報がたまっていけば業務も楽になるだろう。これからが楽しみだ。

 

 

そんな風に思っていた。
この一連の流れ自体が根本的に間違っているとも知らずに。

 

 

Knowledgeを導入してから1ヶ月がたった。Knowledgeの記事の数は計8記事。内訳はAさんと私で半々だ。お互い週に1回くらいのペースで共有すべき情報を投稿していた。

しかしMTGでは乗り気だった他メンバーたちは全く投稿してくれなかった。ただし、ここに投稿するのは義務でも業務の一貫でもない。そのため「投稿してください」とも強く言えなかった。他メンバーも他メンバーで「ちょっと忙しくて、書く暇がないんだよね。落ち着いたらまとめて書いとくよ」と気まずそうに答えた。

 

Aさんはこの現状に悩んでいるらしく相談が持ち掛けられた。

 

Aさん「このままじゃ利用されないまま風化してしまう。全然情報共有できてない。どうしたらいいと思う?」

 

私は楽観視していたため、「そのうち皆も参加してくれる。Knowledgeを見ることを習慣づけるためにも我々は記事の投稿を続けて業務で使える情報を溜めておこう」と答えた。

 

楽観視していた理由として、このKnowledgeは自分の溜めておいた情報を参照するだけでもぜんぜん役立っていたのだ。業務的にも過去の案件で使用した知識やノウハウを再利用することが多く、「あれ?これってどうしてたっけ?」というのをいちいち探していたことがあった。それが覚えておきたいことは「Knowledgeに書いておく」ということを自身にルール付けしたことにより探す手間もないし、他のメンバーに尋ねられた時も「ここに書いておきましたよ」とURLを乗せるだけで回答できるため自身の時間が大いに節約できた。

 

この便利さがわかれば皆も書き込むようになるだろう。Aさんの不安をよそにお気楽に構えていた。

半年後、Aさんが会社を去った。別にこのことが原因ではなく自身のキャリアアップのためだ。1年経った今でもKnowledgeの記事のほとんどが私か彼の記事だった。記事は約40。順当に情報が溜まっていっている。メンバーたちもこれらの情報を参照する機会が増えていったが、書き込むことはほとんどなかった。Aさんが去ったことでついに書き込む人間が一人になってしまったが、上述した自身のメリットがあるため変わらず定期的な投稿を続けた。

 

そして更に1年半後、Knowledgeというツールはただの私専用の高機能メモ帳と化した。つまり私が業務で得た知識やノウハウを他のメンバーが参照するだけのツールとなった。記事数は約120。気付けば自身で100近い情報をストックしていた。自身の業務の効率化はだいぶ達成したと思う。

 

ただ仕事の効率化が早くなった分の余ったスペースは更なる仕事が入るだけだった。

当初の目的を振り返ったときに「業務を効率化したい」という議題から「情報共有ができていない」という問題が提示された。

 

その解決を任されたAさんは情報共有ツールの導入を進めた。

 

そもそもこの流れがおかしかった。もしこの問題の原因が「情報共有ツールがないから皆が情報共有できていない」からであれば、辻褄が合うが原因はそこにはない。事実、導入したところで積極的に書き込んで情報共有を行う人はいなかった。

 

原因は別のところにある。

 

それは情報共有の文化が根付いていないことだった。

情報共有をすべき情報の粒度や共有までのフローやルーチン化など、仕組みやルールが決まっていない状態で新しいツールやシステムを導入したところで意味がない。

 

たしかにWEBサービスやツールの導入は直面している問題のソリューションとして響きが良い。
だが、システムはあくまで作られた仕組みやルールを電子化して情報の更新・参照・追加を円滑にできるものにすぎない。任天堂64を持っていないのにマリオ64を買ってきて喜んでるようなものだ。ゲームボーイカラーを持っていないのにハムスターパラダイス2(チュー)を買うようなものだ。

 

システムやツールを利用するときは解決したい問題とその問題を発生させている原因を分析してから、導入すべきか決めないと意味ないよ。という自戒でした。

 

こちらからは以上です。

28歳。男性。太っているか太っていないかでいったらデブ。わかばたいむす副編集長。

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