家のネット環境は見ず知らずのヨドバシ店員によって殺されたのだ

商品を売る側の気持ち

俺が新卒の営業マンだった頃に「お前、この飲みかけの水を1000円で売ってこいって言われたら売ってこれるか?凄腕の営業マンだったら商材なんて関係なしに売ってこれる。それが営業っちゅうやつだ」と言われたことがある。当時ピュアボーイだった俺は「凄腕の営業マンってすげぇ!憧れる」とかキラキラ思ってた。今思い返せばそれは売る側の気持ちしか視野に入れてない誠に世間の狭い人間だったなと思う。買う側の気持ちなんて一切考えていない。

例え凄腕の営業マンによる圧倒的なトーク力で心動かされてその水を買ったとしても、それはただの飲みかけの水なのだ。新品の水買った方がいいだろ。そんなことを言えば営業経験者から「勝った側が喜ぶならそれでいいじゃないか」と反論される。そういった意見も確かにある。残念ながらお客さんが喜んでくれるのであればどんなものでも買わせて良いという風潮だ。

よく営業マンのインタビューで「あなただから契約してあげると言われたときにやりがいを感じます」とかっていうのを聞くけど、購買意欲を掻き立てるようにトークを組み立てて、相手のネガをつぶして、信用されて、良くもない商品を買ってもらう行為ってどうなんだろうね。営業自身も心から勧められる商材ならまぁいいけど、そうじゃない人は何考えてそれを売ってんのかな。自分の成績やノルマを伸ばすことだけ、相手に商品を買ってもらえば、契約してもらえればそれでいいとか考えてんのかね。ほら、やっぱり買わされる側の気持ちがどこかへ行ってしまった。そういうのって空しいね。それが買った当人だけで完結する商材ならまだしも周りの人まで巻き込むものだったらもっと空しいね。

なぜこんなしょうもないことを愚痴っているか。タイトルの通りだ。俺の家のネット環境が見ず知らずのヨドバシ店員に殺されたからだ。

無線LAN死す

俺は実家暮らしだ。両親と暮らしている。俺の部屋は立地的に有線のLANを引けないような間取りになっており、部屋でのネット環境といえばもっぱら無線LANになるわけだ。ある日いつも通り快適なネットライフをエンジョイしていると、接続が急に不安定になった。不審に思い無線LANのルーターが設置されている部屋へ向かうと特に異常はなかった。いつも通り黒いバッファロー的なルーターがそこにいるだけだったのだ。

その日を境に部屋でのネットが全然つながらないみたいな状態になってしまった。不審に思っていると後日父親の口から意外な真実を知る。

「この前無線ルーター落としちゃったけど、大丈夫?」

そういうことかよ。全然大丈夫じゃねぇよ。繋がんねぇよ。あいにく両親はネットや機械関係に疎いのでそこまで責めはしなかったが、壊してしまったことに罪悪感を感じたらしく、

「ちょっと明日ヨドバシに行って買ってくるよ。同じのでいい?」

と尋ねられた。同じものを買ってくるくらいならできるだろうと俺も父に任せることにした。今思えばこの時に「俺が買ってくる」と言っていればこんなことにならなかったのにと思う。

白いのがやってきた

「ソフトバンクエアーを買いました」

そのような通知がLINEに入った。なぜ?同じものを買ってくると言った口はどこか遠くへ旅立ってしまったのか。黒いバッファロー的なルーターをどう間違ったら真っ白な豆腐的なエアーと間違うことができるのだろうか。仕事から帰って真相を聞いてみることにした。

「ヨドバシの店員さんがさ、俺と一緒の大学出身で盛り上がっちゃってさ。〇〇学部なんだと!」

開口一番に飛び出したのは、父が接客された店員さんの話だった。

「すごく良い奴でなぁ。『ネットがつながらない』って言ったら『こっちのほうがいいですよ』って勧めてくれたんだ。あの短期間ですごく仲良くなった気がするよ」

俺としては父のことを攻め立てたかった。なぜ同じものを買ってこなかったんだと。有線環境があって無線ルーターさえあれば別に事足りるのに、なぜWifiを契約してきたんだ。なぜマンションのLANではなく月額料金払ってまでこれを使うんだ。しかも2年契約て。大きすぎる買い物してんじゃねぇか。その言葉は店員のことを楽しそうに話す父の前ではとうて言うことなどできなかった。

そして仕方なくソフトバンエアーにつないでみた。これでこれまでの環境よりもネットの速度が速くなるならまぁ良いかと思っていた。むしろ余計にお金を払う分そうでなくては困る。

「繋がんねぇ…」

なんなら落とされたバッファロー君のほうがいい仕事してたわ!と突っ込みを入れたくなるくらいの遅さだ。接続も不安定で繋がったり切れたりする。なんだこれは。どういうことなんだ。さっそくネットで調べてみるとソフトバンエアーはかなり酷評らしい。

ネット環境を殺したのは誰だ

ここでソフトバンクエアーに怒りをあらわにしたいところだが、違う。犯人はお前ではない。そもそもソフトバンエアー、お前のターゲットは俺の家のようなところではないことは明白だ。工事不要でデータ容量無制限。コンセントを差せばすぐ使えるWifiが売りのソフトバンエアーなら、一人暮らしを始めたが、通信工事が制限されているマンションに住んでしまった人とか、有線が通っていない地域とか様々な場所で使用できるケースは考えられるが、『有線の環境はすでにあり、無線LANのルーターを落としてしまって、繋がりにくくなってしまった人』というのは絶対ターゲットに入っていないでしょ。

そんなターゲットに合っていない商品を売った店員さん。お前が犯人だよ。どうなんすかね。うちの父に気に入られて自分のノルマとなっている契約数を稼ぎたかった?知識ない人来たラッキーとか思ったの?販売員の鑑だね。購入した人の状況とか全く考えずに自分の売りたいものを売る。あっぱれあっぱれ。どうせうちの父の顔も覚えてないだろ。きっと数字にしか興味ないもんな。あんただったらきっとなれるよ凄腕の営業マンに。年間契約じゃないだけ、飲みかけの水売られたほうが良かったかもしれんな。

そんなわけで俺の家のネット環境は名も知らないヨドバシの店員に殺されたのだ。ソフトバンクエアーの料金を今後も払い続けていくのだ。全然納得いかないけど。そしてしばらく仕事が忙しいため、自分で無線LANを買いに行くことができない。歯がゆい。

まぁ買いに行くとしても絶対別の店に行くけどな。以上!

28歳。お魚のソーセージがあればお野菜も食べれるよ。

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