土を耕す人が報われる世の中になれ

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「何て立派な花壇だろう。キミ、お花が大好きなんだね。よかったらボクの持っている畑でお花をたくさん育ててくれないか」

 

庭に置いてある花壇を見て知らないお兄さんはそう言いました。お花に水をやっていたロウドウは突然の訪問者に戸惑いましたが、自分の育てたお花たちが褒められるのは悪い気はしません。ロウドウは話を聞いてみることにしました。

 

「ボクはケイエイって言うんだ。花を育てる人をたくさん探しているところでね。キミも一緒にやってくれないかい?」

 

ケイエイはそう言ってロウドウを畑に連れて行きました。そこは大きな畑でたくさんの人たちが花を育てていました。皆でワイワイと一緒にお花に水をやったり、種をまいたりしています。その光景を見てロウドウはワクワクしました。

 

「花を育ててくれたら、毎日おいしいご飯をあげよう」

 

その話を聞いてロウドウは更に嬉しくなりました。お花を育てることが好きなことを活かして誰かのために何かできるだけで嬉しいのに、ケイエイはご飯を恵んでくれるらしいです。ロウドウは二つ返事で誘いに乗りました。

 

それからロウドウは毎日ケイエイの畑に行ってお花の世話をしました。他の人たちもお花が好きなので話していてとても楽しいです。

 

「おーい、ロウドウ。日が強いから少し休憩にしよう」

 

そう言ったのはロウドウがここに来る前からお花のお世話をしていたジョウシです。彼は面倒見が良く、ロウドウの知らないことも親切に教えてくれるためとても頼りになります。ロウドウはジョウシの言うことを聞いて木陰で休憩することにしました。

 

「こんなのやってられっか。クソったれ」

 

休憩していると大きな怒鳴り声が聞こえてきました。誰かがケイエイに対して怒鳴っています。

 

「あぁ、畑を耕す側の奴だな。あいつ文句ばっかりなんだよ」

 

ジョウシはそう言いました。どうやらロウドウやジョウシのようにお花の世話をする人だけではなく、畑を耕す人もいるみたいです。彼はなぜ怒っているのだろう。ロウドウは疑問に思います。ロウドウがお花の世話が好きだったからここに来たように、彼もまた畑を耕すのが好きだからここに来たのではないかと思います。

 

「もう二度とここには来ねぇよ」

 

ケイエイに向かってそう怒鳴ると彼は去っていきました。ケイエイは残念そうに俯きます。その後しばらく考えた素振りをすると、こちらに向かってきました。

 

「やぁ、ロウドウ君。調子はどうだい?ロウドウ君は毎日頑張っているから新しいことに挑戦させてあげようと思うんだ」

 

ケイエイはそう言いました。ロウドウはケイエイが自分の頑張りを見ていてくれたことを嬉しく思いました。更に何か新しいことに挑戦させてくれるらしいです。ロウドウはワクワクしました。

 

「この辺りにもう一つ畑を作りたいんだ。ロウドウ君なら出来ると思うよ。どうだい?やってくれるね?」

 

ケイエイは少し口調が強くなっていました。畑を耕すというのはさっき出ていった人がやっていたことでしょうか。ロウドウは少し考えます。花の世話はやったことがありますが、一から畑を耕すなんてやったことありません。でもさっきのケイエイの俯いた顔を思い出すと断ってしまっては可哀そうだと思います。ロウドウは誘いに乗ることにしました。

 

次の日からロウドウは畑を耕し始めました。始めたといっても何から手をつけたらいいかわかりません。お花の世話をしていた時のジョウシみたいな人もいません。ロウドウ一人の作業です。ひとまず畑を耕す道具を使って、土を掘り起こしてみます。そしてお花の種を植えてみました。

 

「ロウドウ君、全然ダメだよ。お花がちゃんと育つような畑にしなくちゃ。ちゃんとした畑がなければお花なんて育たないよ。ロウドウ君の作った畑が完成すれば、もっとたくさんのお花の世話ができるからね。頼んだよ」

 

ロウドウの様子を見に来たケイエイが言いました。ロウドウはちゃんと育つような畑とはどんな畑なのかわかりません。ケイエイにどうすればいいか聞きました。

 

「それを考えるのがキミの役目さ。頼んだよ」

 

ロウドウはひとまず試行錯誤することにしました。色んな耕し方を試して試行錯誤しながら畑を少しずつ広げていました。

 

「あれ?あの人お花育てないで何やってんの?」

 

お花を育てている人たちがこちらを見て言います。

 

「こっちはたくさんのお花育ててんのに、あいつは一人で土いじってるだけでご飯もらえんの?」

 

好き勝手言ってきます。

 

「全然畑が広がらないんだけど、もっと早く耕してもらえるかな」

 

ケイエイが早く耕せと言います。

 

「この質の畑じゃ良いお花が育たないよ。しっかり耕してね」

 

ケイエイがもっと良い畑にしろと言います。

 

「お花の世話もしてない奴よりもご飯の量が少ないってどうなってんだろうね」

 

お花の世話をしている人たちが言います。こんなのひどいです。ロウドウだってお花の世話はできます。それでもケイエイが困っていたから進んで畑を耕す側になったのに、皆が思い思いの言葉を浴びせてきます。お花の世話をしていた時のジョウシに相談しました。

 

「畑を耕すと文句ばっかり言うやつになっちまうんだよな。ロウドウもそうなっちまったか」

 

ジョウシは落胆していました。ロウドウが変わってしまったのでしょうか。ロウドウにはわかりません。ただこのままでは畑を耕すのが終わりません。ケイエイに人を増やせないか相談しました。

 

「お花の世話が好きな人はたくさんいるんだけど、耕す人はなかなか見つからなくてね。大変だろうけど一人で頑張ってくれ」

 

ケイエイは言いました。
その言葉を聞いてロウドウは為す術がないことを悟りました。
そして次の日からロウドウは頑張ることを辞めました。

 

ある日の午後、お花の世話をするジョウシと最近入ったばかりのブカが木陰で休憩していました。

 

「こんなのやってられっか。クソったれ」

 

大きな怒鳴り声が聞こえました。ブカが不思議に思います。ジョウシは彼に向って言いました。

 

「あぁ、畑を耕す側の奴だな。あいつ文句ばっかりなんだよ」

28歳。お魚のソーセージがあればお野菜も食べれるよ。

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